新しい世代の訪問者たちーOne Month for the Future/石原明子

水俣には実に多様な訪問者がある。でもこれまでの典型的な訪問者は、生徒・学生、水俣病の学習に関心のある行政・研究者・市民たち、有機農業やエコ社会に資本主義に対抗するような社会運動として取り組む人たちであった。

でも最近の訪問者たちの中で、わー新しい時代の流れ💕と感じる出会いがあった。

彼らは、「One Month for the Future (OMF)」というプロジェクトの若者たち。OMFは、「世界経済フォーラム(通称ダボス会議)」による若者組織Global Shapers Communityの一つである「Global Shapers福岡」から誕生した活動だ。OMFでは、若者の目線から対話と可視化によって多数派だけではない多様な人の意見を大切にできる社会構築を目指しているという。OMFから水俣に通ってくれているのは、一流企業コンサルタント、世界的ダンサー、T大の若き研究者、アントレプレナー、大学院生などが中心になって、他の若者も誘いつつ、何度も水俣に足を運んでくれている。相思社を拠点に、水俣のいろんな人たちと出会っていっている。彼らの水俣訪問記がまた読みごたえがあり、素晴らしい。

リンク:
https://www.omf-kyushu.com/ (One Month for the Futures ウェブサイト)
https://www.gscfukuoka.com/ (Global Shapers福岡 ウェブサイト)

水俣とくに水俣病公害を語るときに、20世紀後半からの「語り」としては、「近代化・資本主義・大企業産業」VS「地方・第一産業従事者・伝統的価値観・患者支援運動」という敵対的な構図で語ることが定番だった。水俣病公害は、近代化、資本主義、国家に守られた大企業産業によって引き起こされた問題なのだ、と。

その文脈では、OMF誕生の元となった「世界経済フォーラム」といえば資本主義の象徴的存在である。OMFの彼らは、その水俣病公害における“敵”であった大企業・資本主義の側にちゃんと生きる力がある若者たちだ。彼らは、その中に足場をおいて生きていながら水俣に何度も通い、「水俣病公害の歴史には、これからの社会が取り組まねばならない課題のすべてが詰まっている」として、水俣や水俣病公害のことを多くの若者に分かち合い、発信しようとしている。

つまり彼らを見ていると、気候変動のことしかり、21世紀の経済活動は押しなべて、環境問題、人が壊してきた地球上の自然との関係を修復して、未来につなげていけるかという課題に、当たり前に取り組まなければならない時代に来ているということが、そんな時代の変化がひしひしと伝わる。

ある環境省の水俣病担当官僚の方が言っていた…。もう優秀な人材がどんどん環境省を辞めて、環境問題に取り組むために企業やコンサルに行っちゃうんですよね・・・と。この嘆きとも、上記のOMFから水俣に通い続ける若者の関心は、いい意味でも無関係ではあるまい。水俣が問うてきた課題は、もはや日常的に経済活動に携わるすべての人が向き合わなければならない明示的課題として、我々の前に立ち現れてきているということだ。

緒方正人さんが、近年、ずーっと、警告を発信している。

”もう水俣の中で、患者運動もチッソも行政も敵だ味方だって闘っている場合じゃない。今は水俣病が発生した時代以上に地球が危機に瀕している。水俣病をめぐって敵だ味方だという小さな争いはやめて、早く地球規模の危機に皆で対応しないと間に合わなくなる”  (緒方正人氏への聞き取りより石原が要約)

さあ、この時代の流れを受けて、水俣よ、水俣を巡る人々よ、どうするか!

Writer Minamata Impact-Akiko Ishihara
ライター/Minamata Impact 石原明子

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